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@金曜日  ヒラタウミ


  一週間のうち、三番目に嫌な曜日の朝。俺は快適とは言い難いが深い眠りについていたが、それをどこかのくそ野郎の発信したメールによって妨げられた。 朝早くから連絡よこす非常識な奴は誰だ! 「……? 誰だこれ……」 ディスプレイにはあまり見覚えのない名前が。……幼女……? 「ああ、幼女か」 幼女だった。 幼女メールの本文 『ごめん。今日日傘同好会に行けない。ごめんなさい。月曜日に謝るから許してください。怒らないでください』 ……。 そんなに謝らなくてもいいけど。 しかし理由が気になるな。肝心なことが書かれてないぞこのメール。いただけねえな。 まあいい。放課後時間を持て余しそうだが、俺は別に部活がなきゃ無いでいいんだ。もともといつかやめるつもりだし。でもやめた後どうやって時間つぶそう。 ……その時になってから考えればいっか。 俺は布団から抜け出し素早く支度を済ませそろりそろりと家を出た。 当然ミユや藤村にもメールが来ていたらしく朝の会話はそれ一色。 「なんの用事だろうな。書かなかったのか書けなかったのか。どっちでもいいけど、どっちにしろこれは『理由もなく部活に来ないのはダメ』っていう部の掟に触れているのではなかろうか」 「いいじゃない細かいわね。こんなに謝ってるんだから許してあげなさいよ。あんたにだって人には言えない事情があるでしょう」 「まあそうだけど」 「でもヒカゲっちの言いたいことも分かるぜ! 言い出しっぺの部長が曖昧なことするのはよくないと思う。ま、多分それを承知したうえでこのメールが送られてきたんだと思うけど。だからこんなに謝ってるんだよ。だから私は許すよ。細かい事言いたくないし言われたくないもんね。ヒカゲっちも器のおっきいところ見せようぜ!」 「俺の器は大きくないみたいだな」 「ええー……。ヒカゲっち、幻滅っすよー。幻が滅すると書いて幻滅っすよー。ヒカゲ君に抱いていた幻想が消滅しちゃいましたよー」 「どんな幻想抱いてたんだ」 「とりあえずロリコンで――」 「とりあえずの時点で間違ってるから滅していいよその幻想」 なんで俺はロリコンってことになってるんだ? まあ確かにロリコン発言は何度かした気がするが、定着するなんて思わなかったぞ。 「ヒカゲ、あんた本気で許さないつもり?」 「さあな。とりあえず直接話すつもり」 「いやらしいやつね。相手を困らせて喜ぶなんて気持ち悪いわ。私に謝って」 「なんで無意味に謝らなきゃいけねえんだよ。俺お前に対して何も悪いことしてないだろうがふざけんな」と思いながら頭を下げた。 頭を下げながら思う。 幼女のことを許さない、とまではいかないがこういうのはきちんとしとかなければ後々面倒なことになりそうなので、休み時間に一組に顔出してみよう。そんで直接聞いてみよう。 ……別に 結局気になって行っちゃうんだけどな。 一時間目が終わり、俺はすぐに一組の教室がある校舎へ向かった。結構遠いのでもたもたしている暇はない。 無駄に長い廊下を走り階段を駆け上がる。 よりにもよって一組は校舎の最上階にあり、更に一番端っこにある。かなり疲れる。 「はぁ……はぁ……」 息が切れた……。半年運動しないだけでこれか。日頃からちょくちょく運動しておけばよかったな。 やっと。やっっっっっとたどり着いた一組の教室を覗き込む。 おや。幼女の姿が見えないぞ? ドアにいちばん近い一組生徒に尋ねてみた。 「あー、ちょっといい?」 「なんですか?」 「えーっと、何だっけ。あれ、名前……」 幼女とか部長としか呼んでないからパッと名前が出てこない。ミユや藤村はなんて呼んでたっけ……。 「あ、そうそう。ナナエ。イシダナナエは来てる?」 「イシダ、さんですか……? いえ、病気で学校に来てませんが……」 「あ、そうなの?」 病欠か。ならそう言えばよかったのになんで教えてくれなかったんだろう。 「あの――」 声をかけた生徒が何か言おうとしていたが、時間がやばい。急がなきゃ次の授業に遅れてしまう。 「ありがとう助かった。俺急いでるから、じゃ」 聞こえなかったふりをして俺は自分の教室へと急いだ。 そしてその結果のギリギリアウト。 ちょっぴり怒られた。 二時間目終了後。 ミユと藤村が近寄ってきた。 「ヒカゲ。あんたさっき一組行ってきてナナエにあったんでしょ。どうだったのよ」 「それがあいつ休んでた。学校に来てないってさ」 「むむむ! それは大変だ! 放課後みんなでお見舞いに行こう! お見舞いに行かなければナナエちゃんは泣いちゃうよ。……可愛いんだろうなぁ、きっと……」 うへへ、とよだれを垂らす藤村。こいつも大概変態だよな。あ、こいつ『は』大概変態だよな、だった。『も』じゃあ俺も含まれてしまう。いい間違い。 「私家知らないけどキイロは知ってるのかしら」 「私は知らないよ。この街のことでさえもよく知らないし。でもヒカゲっちならストーキングしてたみたいだから分かるでしょ? ……えー……。ストーキングしてたの……? それはちょっと引く……」 「頼むからお前は勝手に俺を想像して貶すな。俺だって家知らねえよ」 「え?! ナナエちゃんの家にお見舞いに行けないの?! 冗談きついぜみんな! 病人に一番必要なのは、休養と、栄養と、供養だよ」 「殺すなよ。会話の流れから休養栄養気保養とでもいうのかと思ったのに」 「気保養って何?」 「気晴らしのこと」 「……なに難しい言葉使っちゃってんだよこのヒカゲ君。気晴らしなら気晴らしって言えばいいじゃないか! 今私恥かいたよ!」 いや、それほど難しくないだろ。 「『養』で合わせたかったんだよ。分かれ。それで、お見舞いはどうすんだ。場所が分からなきゃどうしようもないぜ」 「場所なら先生に聞けば教えてもらえるんじゃないかしら。お見舞いに行きたいって言ったら多分教えてくれるでしょ」 「わっかんないよー? 『プライバシーの保護がうんたらかんたら』とか言って教えてくれないかも」 「あー。ありそうね、それ。ほんとふざけてるわね。別に悪用するんじゃないんだからいいじゃない」 「よーし。悪用しないから、こっそりナナエちゃんの家の住所を盗み見ようか」 「悪用する前に悪事を働いているじゃねえか」 まあ、いざとなりゃそうすればいいか。 「ちょっと待って」とミユ。 俺たちが顔を向けると苦い顔をして続けた。 「もしかして、お見舞い来てほしくないんじゃないかしら。だからメールには部活出れないということだけ書き記して、病気だとばれないようにしたんじゃないかしら」 なるほど。それはありそうだ。 「でもなんで? 私ならお見舞い来てほしいけどな。無駄に弱弱しい演技とかしちゃってみんなを心配させるの。そしてそこからの復活劇! 私が病気になったらこれだね。二人とも、楽しみにしておいてね」 綺麗にウインクをかます。本当に様になるな。 これはあれだな。俺いつか惚れるな。 ふとした瞬間がやばそうだ。 「お前は病気にならないから大丈夫だ。でも本当に何でだろうな。家見られたくないとか?」 「ただ単純に心配かけたくないだけじゃないかしら。ナナエなりに私たちに気を遣ってくれたのかもしれないわね」 「ならお見舞いに行くのはまずいな」 「そうだね。病気だっていうことも私たちは知らない方がいいのかもね。せっかくのナナエちゃんの配慮を台無しにしたくはないよ」 「そうね。どこかのバカがナナエの教室に乗り込んだりするからややこしくなるのよ」 「悪うござんしたね。んじゃまあ、お見舞いは無し、病気のことも俺たちは知らないと。そういうことだな」 「そういうことね」 幼女の寝巻、少し見たかったのだが。 まあいい。 今日は幼女の姿が拝めないんだな。あいつの罵声によって耳が疲れることはなさそうだが、目の保養ができねぇな。別に保養に役立っているわけでもねえけど。 幼女がいるいないに関係なく昼休みはやってくる。 今日はコウジとミユを一緒の卓につけさせることに成功。これでもう一歩位進んでほしいのだが何の作戦も無くこんな状態に持ってきてしまったので空気がかたいかたい。ミユなんかロボットみたいだし藤村なんかもとからポンコツだしマサカズはバカだし。コウジは鈍いから学食の喧騒で俺たちが無駄に暗いことに気づかないみたいだし。今日は何の進展もしねえな。 そして帰りのホームルーム。 適当に連絡事項や何やらをハラダ先生が言っているがあまり聞こえないな。 ホームルームを終えたらとりあえず三人で今日の日傘同好会のことを話し合うかと何となく思っているところに、俺の名前が呼ばれた。 「葉野君。葉野君」 「え? はい? なんすか?」 「聞いていましたか?」 「あー……。すんません。聞いてなかったっす」 ふぅとため息をつき、それほど起こった様子も無くハラダ先生が言う。 「しょうがないですね。次からは気を付けてくださいね」 「はい。それで、なんですか?」 「えっとですね――」 ここで、ハラダ先生の声を遮って教室の端から声が飛んできた。 「先生。私が説明しておくのでいいですよ」 ミユだった。説明とはなんのことだ? 「……それじゃあ、お願いしますね。葉野君も、お願いしますね」 「はぁ……?」 なにごとか分からないがとりあえず俺の知らないところで話が進んでいるようだ。まあ何も聞いてなかった俺が悪いのだろうが。ミユも関わっていることだし面白いことではないだろうな。 そして放課後。 「おいミユ。いったい何事だよ」 「話くらい聞いておきなさいよ。何のとりえもないんだから普通に生きることくらいしてほしいものね」 「ソウデスネ。それで、なに」 もう一度聞くと、ミユは返事の代わりに一枚のプリントを渡してきた。 「……これは、さっき配られたプリントだな」 先ほど配られた重要なプリント。その下には本日の授業で出された宿題のプリントがあった。でも今これを渡された理由が分からない。 「これは――」 「はーっはっは!」 ミユに聞こうと思ったところ、後ろから大きな笑い声が聞こえてきた。藤村だろうが藤村ではないと思うので無視しよう。 遮られた質問をミユにしてみようと再チャレンジしたところ、 「これは――」 「はーっはっは!」 また被せられた。俺に向かって笑っているのだろうが俺に向かって笑っているのではないと信じたいので無視しよう。 「こ――」 「ヒカゲ君! ちょっと泣きそうなわたしがここにいるんだよね! お願いだから振り向いて!」 いまヒカゲって聞こえたけど、俺の名前ではないので振り向かないでいいだろ。 「」 「ビガゲぐぅううううううううん!」 泣きだした! 俺が何か言う前に泣きだした! 「何だよ! なんか用か?!」 面倒くさいが振り向いた。振り向かされた。 「酷いよヒカゲ君! 私が呼んでるのを何回も無視して! そんなんじゃあ私のハートはゲットできないぞ!」 本当に泣いていたようで涙をぽろぽろこぼしながら俺を睨んでいた。 俺がちょっと引いていると、ずんずん近づいてきた。 「ヒカゲ君はもうちょっと私に気を遣うべきだよ! 高校の友達第一号として私と仲良くしなければならないって学校の授業で習ったでしょう?!」 「そんなピンポイントな授業受けてない。それで、なに」 藤村は涙をぬぐい、俺の持っているプリントを指さした。 「それ関連について。私も行くから教えてあげようと思ったのー。それなのに無視とかして、酷い話だよヒカゲ軍曹」 「あぁ、そうなんだ。でもいいや。ミユから聞くから」 反転してミユの方を向くが藤村によってさらに反転させられ元の位置に戻された。またふざけやがって、と思ったが、その表情は先ほどとは違い真剣そのもの。結構ビビった。 「……ねえ、ヒカゲ君。君は私のことが嫌いなのかな……。それならはっきりそう言って。お願いだから。もしそうだとしたら何が悪いのかも教えてくれると嬉しい。私、直すから」 がっしりと俺をつかんだまま言う。冗談の言い方ではなく、かなり真剣な言い方で。 いやぁ、マジでなにこれ? なんでこんなに怒ってるの? 「いえ、私は藤村様のことを好きだと思うことも多々ありますので少なくとも嫌ってないないと思います。多分」 「ヒカゲ君。私は結構本気で言ってるんだ。ふざけないでちゃんと教えて」 真剣に俺を見つめる目は先ほどの涙目とは違う涙目。 もうびっくりして思わずあたりを見渡しちゃった。 みんなハラハラしながら遠巻きに見ていた。一番ハラハラしているのは俺だけどな! 藤村に視線を戻す。 「……お願いだから……友達でいて……。私と、仲良くして……!」 うつむき、そうつぶやいていた。 その姿は初めて食堂で飯を食ったときに藤村に見たひたすらに暗い女子高生だった。 『色々なかったことにしてさ』 そう言っていたっけ。中学時代になにかあったんだな。でも俺は、今それを聞けない。あの明るい藤村をここまで陰鬱な姿にさせるそれに俺はビビったんだ。 だが俺ははっきり言ってやった。 「ううん」 「どっち?!」 がばっと泣き顔をあげた。 「え?」 「はっきり言ってよ!」 あれ、おかしいな……。はっきり言ってやったつもりなのに。 「イイエス」 「どっち?!」 あれ? はっきり言ったじゃないか。 ふざけている俺に藤村の我慢が限界に達した。 「お願いだから友達でいてよおおおおおおおおおおお!」 うつむきそう大声で叫んだ。 俺は驚き、完全に頭が真っ白になった。 ふざけることもおしゃれなセリフも言うことができない。どうすればいいか分からなくなった。 「えと、藤村……」 必死にかける言葉を探すが見つからない。 こういう時はなんて言えばいいんだろう。 友達でいてよ。 それに答えることは簡単だと思う。でも、何故か答えられない。答えたらダメな気がする。 その理由がわからなければ、多分俺はもごもごと聞き取れない言葉を藤村に送らなければならないのだろう。自分が情けないぜ。 そういうわけでもごもごと唸っていると、急に藤村が一歩退き俺に背を向ける。後姿だからよく分からないが、多分涙を拭っているのだろう。両腕をしきりに顔の方へ持って行っている。そして、勢いよく腕をおろし、 「なーんてね!」 いつもの調子でそう言いながらこちらを振り向いた。 「びっくりした?」 真っ赤な目でそう言う。 「ま、まあ……」 素直に答えるしかない。 「いやぁ、ヒカゲっちがあまりにも私のことをおざなりに扱うからさぁ、ちょっとびっくりさせてやろうかと思ってね! これに懲りたら私にも充分愛を注ぐことだね!」 元気のいい藤村。元気があるようにしか見えない。落ち込んでいる気配はないが目は赤い。 「うん……。……あのー……、今のは――」 言葉の途中で思いっきり後頭部を叩かれた。 「いてぇ! 何すんだ!」 もちろんミユだった。 「さあヒカゲ、キイロ。行くわよ! 説明は歩きながらでもできるでしょ!」 そう言うや否やカバンを持って一人ずんずん教室を出て行った。 「おっと、このままじゃあミユちゃんに置いて行かれちゃうぜ! さぁさヒカゲっち、サクッと追いかけよう!」 藤村も自分のカバンを持って教室を飛び出した。 「……。どこ行くんだよ」 せめて目的地位教えてほしかったな……。 混乱したままのクラスメイト達に適当に説明と手であいさつをして、少し遅れ気味で俺も教室を出た。 ……なんだったんだろ、藤村のあれ。 ミユは本気で俺を置いていくつもりだったようで、その姿は下駄箱になかった。慌てて靴を履き玄関を出ると遥か遠くの方でミユと藤村二人が歩いていた。ちょっとは待っててくれよ! 面倒くさいからちんたら歩いていると、あいつら二人は俺の方を振り向きもせず校門を出て左に曲がった。いや、いやいやいや! それはさすがに見失うだろ! 校門で待っててくれよ! 見失ったら明日が怖いので(あ、明日は土曜日だ)、いやさ来週の月曜日が怖いので、全力疾走で追いかける。 校門を出てすぐに待っていてくれるのかなぁなんて期待もしたのだがそんなこと一切なく普通に先を歩いていた。 優しさのかけらもない。 必死に走り、ひゅーひゅー言いながら追いついたとき、ミユからこんなこと言われた。 「……あんた、息荒くしてあと追ってくるとか気持ち悪すぎよ。ちょっと離れててくれないかしら。っていうかなんで息荒くしてるの? 引くんだけど」 「ひゅー……ひゅー……」 「何とか言いなさいよ」 がくがくの足を蹴られた。みっともなく崩れ去る俺。 「や、やめろ……。疲れてるんだから……」 「ならそのはぁはぁ言うのをやめなさい」 なんなのこいつ? マジで何なの? これが必死に追ってきた俺に対する仕打ち? おかしくない? 「ヒカゲっち。立てるかい?」 アスファルトに這いつくばる俺に藤村が手を差し伸べてくれた。 「はぁ、あり、はぁ、が、はぁ、とう、はぁはぁ」 手をつかもうとしたがさっとひかれた。え? なんで? 「な、ん、で……」 「いやー。はははー。……ちょっと、引いちゃった」 もうこいつらは本当にどうしようもないな! 嫌いだ! 誰も頼れないようなので膝をがくがく言わせながら立ち上がる。 「口ん中が血の味がする」 いつ振りだろうこんな体験。懐かしいな。 なんて懐かしんでいる場合ではない。 「おい、貴様ら。おいていくなんてひどいだろ」 「ついてこれないあんたが悪いのよ」 すげえ自分中心の理論だな。羨ましく思うがそれを受ける側になるとなると堪ったもんじゃねえな。 「まあいいわ。面倒くさいから。それで、俺は今どこへ向かっているんでしょうかね」 「ふっふっふ。私が教えてあげよう」 「あ、ミユに聞くからいいわ」 「え?! マジですか?! ヒカゲ君との付き合いまだあまりないけどヒカゲ君のそう言うところ好きだな! わたし!」 え、褒められた。なんで? 「もう藤村でいいから教えてくれよ。どこに向かってるんだ」 「藤村でいいから、には若干のいら立ちとかなりの悲しみを感じたけどまあいいや。よくないけどさぁ……。……よくないけど……」 「ああああもう分かったよ! 藤村様、ぜひあなたにお伺いしたいのですが私は今どこへ向かっているのでしょうか教えてください! ミユじゃあだめなんだ! お前じゃなきゃ俺はダメなんだよ!」 「わお。愛の告白みたいだね」 「あんた往来でとんでもないセリフ吐くわね。チャラ男ね。チャラ男」 「そこまで言うなら教えてあげるよ。しょうがねえなぁヒカゲ君は。私がいなきゃ何もできないんだから」 イラつくのは俺だけかな? 俺だけじゃないよね〜。 偉そうに腕を組んだ藤村が偉そうに教えてくれた。 「私たちは今からヒラタウミちゃんの家に行こうとしているのさ。今君が持っているのはヒラタウミちゃんに渡さなければならないプリント。それを私たちが届けようという任務なのだよ。家の場所はミユちゃんが地図を受け取っているから大丈夫だぜ。安心しな子猫ちゃん」 「子猫じゃねえよ。でもそれなら俺必要ねえじゃん。つーか逆に邪魔じゃん。女の子が休んでいるところに見知らぬ男が尋ねてくるっておかしいだろ。寝巻とか見られたくねえんじゃねえの」 「そんな重たい荷物を私たちに持たせるっていうの? あんた酷い人間ね」 「重いって、プリント数枚じゃんか。お前はあれか。箸より重いものを持ったことのない人間か。いや、箸より軽いわこれ」 「グダグダうるさいわね。これが今日の日傘同好会の部活よ。ほら、もう説明はいいでしょ。さっさと行くわよ」 本当にさっさと歩き出した。説明は済んだだろうけど、俺は納得していない。 一人ずんずんと進んでいくミユを睨みつけていると、俺を待ってくれていたのか藤村が俺のそばに立っており俺に話しかけてきた。 「ヒカゲっち。さっきの教室でのことなんだけど」 言いずらそうに視線を外す。 「うん」 「……冗談、だからね?」 上目づかいで言うその姿は藤村であるが藤村ではなかった。例の暗い女子高生モードだった。 「まあ、そう言ってたからな。あれは冗談だった。俺はもうそう思ってたぜ」 「……ありがと。さて、このままぼうっとしていたらまたミユちゃんに置いて行かれちゃうぜ! 急ごうか!」 そう言って、藤村が走り出した。が、俺は一言言いたいことがあるのだ。 「藤村」 くっ、と前のめりになりながら立ち止まる藤村。 不安そうな顔で振り返った。 「あのさ。さっきの冗談なんだけど」 「……うん」 「いつか、答えられると思う」 「……? 何のこと?」 「言ってたじゃん。お願いだから友達でいてって。でも俺それに即答できなかった。すぐに答えられるお願いなのに、答えられなかった。なんでか分かんねえけど。でもいつか答えるから」 「別にいいよ? ただの冗談だし!」 えへへー、と、無理にアホっぽく笑う。痛々しいな。こんな藤村見たくない。 「そうだな。冗談だったんだよな。じゃあ俺もいつか冗談言う。最高にクールな冗談で返して見せるわ。考えて考えて、お前の笑う姿を想像しながら考えて、ベストなジョークをお前にかましてやるよ」 「……ふーん」 ふーんって。 「……じゃあ、待ってるね。その最高にクールな冗談で涙が出るくらい私を笑わせてね」 「任せとけ」 「任せるね」 俺たちは笑いあった。 それ以外に表情は無い。選べない。 だって俺たちは冗談について話してただけなんだから。 遠くの方でミユが俺達を見ていた。  雑談を交わしながらヒラタの家へ向かう俺たち三人。  藤村の家は知らないが俺やミユの家から正反対の方向だ。  「そうだ。何で俺たちがこんなことしなくちゃいけないんだよ。家が近いやつに頼めばいいじゃねえか。俺たち正反対だぜ。もっと適任のやつがいただろう。もし近所のやつがいなくても中学時代からの友達とかに頼めばいいじゃんか。歓迎されねえよ俺たち」  「しょうがないじゃない。委員長だからって事で頼まれたのよ」  「だからって俺まで巻き込むな……。……つーか、お前委員長だったんだな」 まあ適材適所だろう。こいつ結構引っ張ってくれるからな。イベントごとのリーダーシップ、期待してるぜ。 と思ったが。  「委員長は私じゃないわよ。キイロよ」  ………………。  「え……。マジで……?」  一瞬なんて言ったかよく分からなかった。考えてしまったぜ。  「そうなのです。むん。私はあのクラスで一番権力を持っているのだよ。だから今後うかつな事いうんじゃないぜ、消し飛ぶんだぜ」  自慢げに胸を張る藤村。  「何で?」  「なんでって、何? 私が委員長じゃあ不満だって言うのかい君は」  「まあ、そうなる。お前よりミユのほうが向いてるんじゃねーのかと思う」  「失礼なこというね。これでも私は委員長暦が長いんだからね。通算一週間」   「みじけっ! 初の委員長じゃねえか!」  「ちっちっち。それでもゼロ日の君とは経験が違うんだぜ。君に委員長は語れないけど、私は語れる。歴然だね」  「ミユ。何でこいつが委員長になってるんだ?」  「立候補者が一人しかいなかったから。ちなみに副委員長は私。キイロが推薦してくれたのよ」  「ふーん」  まあ、がんばってくれとしか言いようがないな。  「そうだとしても近所のやつに頼むのが普通だろ。あれか? もしかして藤村の家ってこっちなのか?」  「まさか。こんな高級住宅街に住めるわけないよ。まあ確かに私から発せられるお金持ちオーラを持ってすれば誰かの家に飛び込んでもばれずにホームシェアできちゃうけどさ、さすがにね」  「ホームシェアって何だよ。ルームシェアみたいに言うんじゃねえよ」  ……高級住宅街?  俺はあたりを見渡してみた。  ……なんとなく見覚えがある。ただそのときは夜だったので街の装いがかなり違い、はっきりしたことは言えない。だが確実にあの時迷い込んだ住宅街に似ている。公園が見えてくれば確信がもてるが――  ――見えてきてしまった。  こうなってくると嫌な予感がしてくる。あの時あったお姉さんが脳内でしきりに顔を覗かせてくる。  「公園の正面。そこにヒラタさんの家があるみたいだけど」  ミユが地図と町並みを見比べている。藤村は少し走って表札を見て、また少し走って表札を見てを繰り返している。  俺はといえばなんとなくヒラタ家が見つかってほしくないのでミユと藤村から離れるように歩いた。  が、運命なのか何なのか、俺は見つけてしまった。  めちゃくちゃでかい家。アルファベットで『HIRATA』と書かれた表札。おそらく、ここが目的地だろう。なるほど確かに公園の正面だ。公園にいればこの家に帰ってくる人間を迎えることができるな。……。  いやいや。でもまだここがヒラタウミの家だとは限らないし、俺の嫌な予感が当たるとは限らない。とりあえずそっとここを離れてミユたちが家を見つけないことを祈ろう。  「あらヒカゲ。もしかして見つけたのかしら?」  ぼけっと一軒を眺める俺に気づいたミユが近づいてきた。  「あー、いやぁ、多分見つけてない」  きっとここは違うんだよ。うん。そうだよ。  否定してもミユがずんずん歩いてくる。それ以上近づかないでくれ。  「お、さすがヒカゲっち。家探しのプロはすごいね、さすがやね」  いつの間にか俺の後ろで表札を眺めていた藤村。やばい。ばれた。  そしてミユも到着。  「なによ。見つけたなら早く教えなさいよ」  「……いや、俺ローマ字読めなくて」  「何馬鹿なこと言ってるのよ。さっさとプリント渡すわよ」  ミユが何のためらいもなくインターホンを押した。  インターホンから声が聞こえてくる。気のせいかあのときのお姉さんの声に似ているような。まあ機械越しだからかなりあいまいだけど。  「ヒラタウミって金持ちなんだな」  「そうみたいだね。是非仲良くなりたいね」  「金目当てかよ」  「邪ね、キイロ」  「え?! なんで私の下着の柄を知っているの?!」  横縞らしい。偶然か、俺の下着も横縞だぜ。縦縞じゃなくて横縞だぜ。珍しいだろ。  「でもなんで学校に来てないのかな……。寂しいよね、そんなの」  「病気だろ。自宅療養中なんじゃねーの?」  「そういう理由だといいけどさ、もしかしたら学校に行きたくないとかかも知れないよ。もしそうなら学校の楽しさを教えてあげよう。そして友達になろう」  「邪ね、キイロ」  「え?! なんでヒカゲ君の下着の柄を知っているの?!」  「え?! なんでお前俺の下着の柄を知ってんだよ! マジで!」  「何言ってるのヒカゲ君。君朝からズボンはき忘れてるからみんなにばればれだよ」  「はき忘れてねえよ!」  といいながら一応下半身を見てみる。大丈夫。ボケは始まっていない。  「……遅いわね」  ぼそっとミユがつぶやいた。何のことかと思ったがそういえばインターホンを押して結構時間がたったのに誰も出てきていない。  「何してるのかしら」  いらいらしているのか足をパタパタさせていた。出会い頭に怒鳴るなよ。頼むから。  それから二分か三分か。体感的には長かったが実時間はその程度だろう。やっと出てきた人は、やはりあの時出会ったおかしなお姉さんだった。いや、まだこいつがヒラタウミだと決まったわけではない。  「こんにちは。ヒラタウミです」  ヒラタウミだと特定された。  しきりに上がって行けと勧めてくるヒラタウミに、半分強引に家に招かれ居間に通された俺たち。  家の中は異様なほどに広かった。広いなんてものじゃなかった。家の概観からも相当大きいというのは分かったが、中に入ってみるとその大きさはもうあれだ。あれ。うん。言葉が見つからない。  「すみません。ありがとうございます皆さん」  お姉さん、いやヒラタウミが、三人分の飲み物を持って居間に戻ってきた。  「ちょっと風邪気味で休んじゃいました。こんな私のためにわざわざ足を運んでいただいてありがとうございます」  「いえ、別に大したことじゃなわよ。ほらヒカゲ、プリント」  「あ、はい」  俺はヒラタにプリントを渡した。  「どうもありがとうございます。しかし、偶然とはすごいですね。やはり妖精が導いてくれたのでしょうか」  「妖精? 妖精ってなんだいウミちゃん。もしかしてウミちゃんは妖精が見えるのかい?!」  「ええ、私は妖精が見えるんですよ。この男の人も見えるみたいですよ」  「見えねえよ。それやめてくれって言ったじゃん」  「そうでしたね」  にっこりと笑うヒラタとなんとなくげんなりする俺。そしてそれをみて疑問符を浮かべているミユと藤村。  「あらあら。まるで私と会いたくなかったような反応ですね。うれしくないんですか?」  「別にうれしくはないし、会いたいとは思ってなかった」  「何でですか?」  「だって、ヒラタおかしいじゃん」  「失礼ですね。おかしくないですよ」  「ヒカゲ」  ミユが不思議そうな顔で俺に話しかける。  「あんた、ヒラタさんと知り合いなの?」  「知り合いってほどでもないけど、ちょっと前にあったんだ」  「はい。妖精に導かれて――」  「マジでそれやめて! ボーっと歩いていててこの辺に迷い込んだときにちょっと」  「なんだいなんだいヒカゲっち! 私に隠れてウミちゃんと遊ぶなんてひどい話じゃないかい! 私も誘ってよ!」  「うるせえなぁ。偶然会っただけだって」  ほんと、偶然ってすごいよ。  「自己紹介がまだだったわね」とミユ。  そう言えばまだだったっけ。  ってなわけで自己紹介タイム。  「私は綿部。ヒラタさんと同じ一年四組に在籍してるの。よろしくお願いね」  「私は藤村! 私も一年四組ですぜ!」  「俺は葉野。四組」  まあ、違うクラスの人間がプリントを届けに来るわけねえわな。  「よろしくお願いします。私はヒラタウミ。仲良くしてくださいね」 仲良くしてやろう。変だけど可愛いし。 仲良くなるためにズバッと質問してみよう。  「ヒラタ、学校来ないの?」  「あんた、バカ!」  思いっきり殴られた。  「い、いてえよ……! 何すんだよ……!」  ミユが顔を近づけ小声で言ってきた。  「人には踏み込まれたくない領域って言うのがある、そういったわよね。どうみてもあんたのそれは踏み込んじゃいけない領域よ!」  「い、いや、この前学校には行ってるみたいな言い方してたから……」  「でも来てないのは分かってるじゃない!」  そうだけどさ……。  俺たちがこそこそとそんなやり取りをしていると、不思議そうな顔でたずねてきた。なぜかヒラタが。  「私、学校行ってませんか?」  何を言っているんだこいつは。  「行ってるつもりならそれ脳内の学校だわ」  「あー。なるほど。脳内学校に毎日通っていたみたいですね」  「安心してウミちゃん! 私も時々脳内友達と楽しく遊んでいるから! もう頭の中でしか会えないけど仲良くやってるよ!」  どちらも病院で検査してもらったほうがいいな。  「おかしいですね。行ってると思っていたんですが……。私の勘違いでしたか」  「そうね。せめて出席を取るときくらいは脳内学校でなく現実の学校で返事をしたほうがいいわね」  「はい、気をつけるように伝えておきますね」  誰にだよ。  「学校は楽しいですか?」  突然聞いてきた。  「まあ、そうね。いろんな人にも会えるし、楽しいわね」  いろんな人というか、好きな人に会えるからだろ。  「葉野君はどうですか?」  「楽しいね。一日中いたいくらいだぜ。つーか、家がつまらなくてしょうがないな。よく一日中家にいれるな」  「普通は逆だと思うんですけどね。藤村さんも学校は楽しいですか?」  「学校はめちゃくちゃ楽しいんだぜ! 楽しくないわけがないよ! 私を見ればどれだけ楽しいかって言うのが分かるでしょ?」  ああ、まあ確かに無駄に元気な藤村を見れば学校の楽しさが分かるかもしれないな。  藤村と触れ合うことで不登校を克服できるかも。  と思っていたが、ヒラタからの返事は予想だにしないものだった。  「……いえ、ごめんなさい。申し訳ないのですが楽しそうに見えません。藤村さん、無理してますよね。学校を必死に楽しもうとしているような気がしますね」  「……へ……?」  きょとんとする藤村。多分俺も同じ顔をしている。ミユも。  「学校、楽しくないですか? 無理をするのはなぜですか?」  「えっと……?」  「悩みがあるなら相談してくださいね。きっとそれは押し殺せるような苦しみではないはずです。助けを求めましょう。そのための友達ですよ」  「……はぁ……」  困惑する藤村。  そうだ。この人は見透かしたこと言うんだ。だから少しだけ嫌だったんだ。  「学校、好きになれるといいですね」  「あ、はい」  頭を下げる藤村。藤村のペースが崩されている。やっぱりヒラタは変なやつだな。  「じゃあ、そろそろお暇しましょうか。風邪がぶり返しても面白くないでしょうし」  さすがミユ。ここから早く逃げ出したかったんだぜ。  「もうお帰りですか? 残念です。もう少しお話していたかったのですが、あまり遅くなってもなんですしね。プリントわざわざありがとうございました。このご恩は一生忘れません」  「そんな大げさな。次会うときは風邪を治した元気な姿で、学校で会いましょう。それじゃあお邪魔しました。行くわよ二人とも」  「あ、うん」  完全にペースを見失った藤村が小さくうなずく。  「お邪魔しました……」  立ち上がり、ヒラタと視線を合わせずに言った。  まあ、仕方ないか。変なことを言われた後だし。  「んじゃな。学校こいよ」  俺も腰を上げ適当に声をかける。  「はい。次会うときは本当の姿をお見せできるものと信じてますよ」  「仮の姿なのかよ……」  やっぱり最後まで変なやつだった。    当然帰り道は本日の感想。  「なんか、強烈な人だったわね。別にこれといったインパクトはなかったけど、最終的に不思議な余韻を残してくれたわね」  「普通に変人って言えよ」 「いやぁ、私どうしていいのか分からなかったぜ……。明るく行くと無理してるって言われるから……。ウミちゃん、強敵な予感がするね! 攻略のしがいがあるよ、ひっひっひ……」  攻略不可能な気もするがな。 「しかし学校に来ていない理由が風邪とはな」 「そうだあんた、何聞いてるのよ! 絶対に触れちゃいけないところだったじゃない!」 「いや、違うんだって。この前会ったとき、学校あんまり行きたくないんですよね、って言ってたから……? うん? どっちともとれるか……?」 うん? ……うん。 「まあいいや」 「よくないわよ。あんた何心の傷をえぐってるのよ……。そのせいで学校に来たくなくなったらどうするのよ!」 「いやぁ、別にいいんじゃないか? 関係ないし」 「関係なくはないぜヒカゲっち。クラスメイトで友達でしょう。だったら一緒に学校生活を楽しみたいよ。だから私は頑張るよ。何とかウミちゃんに学校の良さを伝えるんだ」 意気込んでいる藤村。……うーん。俺には無理しているように見えないけど……。ヒラタから言わせれば無理しているんだよな。まああいつも素っ頓狂なこと言う人間だし、気にしなくていいか。 「ところで藤村の家ってどのあたり何だ? ここからは近くないんだろ」 「おやおや。ヒカゲっち。私の家に来て何をするつもりだい。家に来ても花札くらいしかできる事ないぜ。……ふっ、いいだろう。私の大好きな赤タンで一思いに巻き上げてやろう」 「花札しねえよ。別に住んでるところが気になっただけだ」 「あんた、女の子の一人暮らしを覗くなんて最低よ」 「なんで覗き前提?」 「覗いてもいいけどお金とるよ。結構厳しいんだよねー。仕送りしてもらってるけど申し訳ないからギリギリ生活できる程度しかもらってないからさ。でもヒカゲ君がお金落として行ってくれるならそれも解決だね」 「お前の日常なんざ見たくねえわ。別に教えたくなけりゃ教えなくていいし、細かい位置を言えと言っているわけでもねえんだけど」 「別に教えたくないわけじゃないよ。ただためらっていただけ」 「それ教えたくねえってことだろ」 「違うよ。ただヒカゲ君を疑っていただけ」 「教えたくねえんだろ」 「違うよ。教えたくないだけ」 「教えたくないって言っちゃった!」 もういいよ! 聞かねえ! 「何怒ってるのよ。あんたが怒るなんて生意気よ」 「怒っちゃダメなのかよ……」 なんだそりゃ。 「でも私もキイロの家知りたいわ。遊びに行くわよ」 「おおお。高校生活初のお客さんになってくれるのかい。ならお姉さん教えちゃおうかな」 「俺も聞いてていいのかよ」 「いいよ。みんなに教えたかったし。渋っていたのは焦らしプレイさ。興奮した?」 「したした」 「……えー……」 「引くなよ!」 そんなわけでキイロは学校周辺に住んでいるようだった。 ヒラタ家から全然近くねえな。 学校付近で藤村と別れ、そこからしばらく歩いてミユとも別れた。両手に花状態の終了は暇地獄始まりだった。 暇地獄を何とか乗り越え、バイトに行って、ファミレスで飯食って、保志野を送って。 さぁ、休日の始まりだ。